こんな事に意味などない

混乱していた。

今もまだ。

一切合切、決意と呼ばれるものから避難して、身を沈め続けていたが。

真面目に傾けられた振動は、体に共鳴しないぎりぎりを伸びていった。

楽譜に記されない痛みが、不愉快を隠さない顔で内側から私を見ている。

これは危ない。

これ以上ここに浮かんでいたら、戻れなくなる。

明らかに自分が不利なのに憎しみが深い。

もう離れよう。

大切を大切にしましょう。

 

夜明けが、この世の善きことの全てではない。

 

夜の黒さが今は恐ろしくありません。

何もしないことを今は恐れていないのです。

 

昨日覚えた怒りと憎しみが、缶チューハイの重さになり、それはあっけなく溶けて、味も思い出せなくなります。

何の努力も必要とせず、思考を開放いたします。

それは考えることをやめるのとは違い、決断を放棄するのとは違い、苦しみから逃避するのとは違い、そのすべてを飲み込みながら、このような感情でありたいと願う方向へ体の向きを変えた、ただそれだけなのである。

ゆっくりとしかし確かに、自分の鳴らした足音が生命を奏でている。

大した事では無い。

ベタ凪のようでいて、海は動きを止めようとはしないのだ。

激しい海が私の中にあり、光の届かない音のない深さが確かにあり、そこでしか生まれない自分自身があり、その事実は覆すことができない。

悲しみ苦しみ何もかも、その深さでなければ見つからない暗闇ゆえの情動が、私の海を豊かにする。

のしかかる圧が生む。

嵐のように激しい静寂。

全身飲み込まれながら今夜私は朝など待たない。